南帆2(アレコレソレ)

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****キョウの心境**** 南帆から「アレについて話したい」 と言われた。 そして「私はレズじゃない」 と言われた。 (まじか…そういえば彼女は  レズだと言っていない。  じゃあなぜ俺をゲイだと知って  同居しているのか…。) 俺は動揺して無意識に声にしていたのか 彼女が不安そうに俺を見ている。 (ここははっきりさせなくては…) 面接に来た女は殆ど・・・いや、 全てと言っていい。 俺に聞いてくるのだ。 「女性じゃダメなんですか?」 「友達としてお付き合いてくれる?」 「男性の何処が好きなの?」 など激しく質問攻めにあった。 はっきり言って俺はモテる。 顔だけで言い寄ってくる女は山ほどいた。 でも南帆は俺の顔を見ても平然とし、 今までの女のような媚びる質問もしなかった。 だから俺は南帆はレズだと思っていた。なのに半年経って 「私はレズじゃない」という。 「じゃあさ、俺の事どう思ってんの?」 少し冷たく言った。が、ここは譲れない。 「キョウは女友達…正確に言えば家族だよ」 彼女は当然のように言った。 俺は「かわいい」と彼女に言ったが 心は泣いていた。 俺の家族は俺が『ゲイ』だと知らない 当然男としての義務を家族から催促され続けた きっと理解してもらえないだろうと 諦めてさえいる。 家族に対しての愛情は無かった。 本当の姿を家族に見せるのが怖かった。 本当の自分を隠して日々を過ごした。 恋人に対して異常に執着していた時期もある。 家族に求めた愛情を押し付けていたんだろう なのに半年という短い時間を 共に過ごした南帆は迷いなく俺を家族だといい 俺の存在を受入れている。 その上彼女は何か大きなトラウマを抱えている。 そして彼女は俺に嫌われないかと 不安そうに見ている。 今までと同じように暮らしたいと 彼女は言った。 心から嬉しかった。 俺はこの子の深い傷を埋めてあげたい。 「南帆」 「ん?」 「俺、ずっと一緒に居るからね。  辛かったらすぐ言うんだよ?  家にいない時は携帯で呼んでね。  悩んだら相談してよ。必ず言ってよ?」 「キョウ…嬉しいありがとう。」 南帆は満面の笑みを向けて答えた。 俺は決心した、 彼女の痛みをいつか癒してあげたいと…
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