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「私、黒川さんと友達になりたい。親友になりたい。何でも言い合える、本当の友達になりたいの。」
「で、でも・・・私にそんな資格は・・・」
「ううん、私からお願いしてるんだから、ちゃんと資格はあるよ。」
黒川さんは口をぽかーんと開けて、固まっている。
「これから、新しい好きな人も見つけて、学校の行事も一緒にやって、遊んで、時には前みたいに喧嘩したりもして。そんなことをしたいと思うんだ。」
黒川さんはまた涙を流した。
「ありがとう・・・っ」
「あ、あとね?前喧嘩したとき、敬語使ってなかったでしょ。あんな感じでさ、敬語とか、もうやめよ?」
「・・・うん、わかった。」
その次の日、黒川さんは登校してきた。
「あ、小豆ちゃん、おは・・・・・・え?」
確かに小豆ちゃんだ。だけど、髪を肩まで切って、長い前髪を赤いピンでとめ、背筋を伸ばし、制服をしっかり着こなして笑顔で歩いてくる小豆ちゃんは、完全に別人に見えた。
「おはよう、澪ちゃん!」
雰囲気が一変した小豆ちゃんを、クラスの一同が凝視した。
「イメチェン・・・してみたんだよ?明るい方がいいかなーって思って。」
私の方をしっかり見て、明るい笑顔で、大きい声で話す小豆ちゃんは、まるでお人形のように美しかった。
「うん・・・うん!!最高だよ!!めっちゃ可愛い!!!」
私も思わず笑顔になって、イメチェンした小豆ちゃんを褒め称える。
そしてクラスの皆も小豆ちゃんの周りに集まった。
「可愛い!」「どうしたの?」「このヘアピンどこの??」
転校初日のように、クラスメイトが集まってくる。けれど、前とは違い、少し戸惑いながらもクラスメイトに対応している姿は、まさに別人のように思えた。
「澪ちゃん・・・本当にありがとう。」
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