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センセイはまた来るとは言わなかったが、また来ると予想はした。ただの勘だ。 妙な関係だとつくづく思う。 恋人ではない、友達でもない。愛人でもなく娼婦でもなく、強いて言うなら体だけの関係。互いの連絡先も知らない。辛うじて勤め先を知ってるだけだ。センセイが来なくなれば関係は終わる。脆い関係なのだ。  水曜日、仕事を終えてロビーに行くと、同期は新調したワンピースを着ていた。 「買ったの?」 「うん。秋物がセールになってたから衝動買い」 「美羽、似合う」 「ありがと」 「……」
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