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「あ~それは……」
目が泳ぐオレに、高橋の目つきが鋭くなる。
顔のあざに目を走らせて、低くうなるように言う。
「こいつら関係あんの?」
「違うよ。」
笑いのかけらもない高橋の表情は、それだけ心配してるってことなんだろう。
でも、同じ学校の奴が犯人だってわかったら、高橋はきっと容赦しない。
スポーツ部の高橋が手を出すってことは、高橋だけのことじゃ済まないってことだ。暴力事件で出場停止なんていうのはよくある話だ。
高橋には巻き込まれて欲しくない。
オレは、縋るようにハルを見た。
「一緒にバイトしてるだけだ。」
ハルが口を挟む。
「バイト?」
「そ、バイト先でみんな一緒なんだ。」
「七重?バイトとか大丈夫なのか?」
「ん、まだ1日しか行ってないけど。」
「どんなことしてんの?」
寝てる?編み物してる?なんて説明すればいいんだ?
具合悪くて寝てるとか言ったら、顔だけじゃないってバレてしまう。
「んと……あ、あみもの?」
「なにそれ。どこでやってんの?」
ハルがため息つきながら、財布から名刺を出す。
裏の地図の方を表にして高橋に渡す。
「喫茶店?」
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