神の在るわけ

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暦の10月 神無月は出雲に神々が集まるから、それ以外の場所には神様がいなくなる。 神無月の家に生まれて、神無月に生まれたオレには親がいない。 そんなオレにばあちゃんは、神がオレを護らないなら、人が七重に護ってくれる様にって七重と名をつけた。 そんなオレは誰にも関わらず生きて来た。人にも神にも護られずに、どこにも繋がらずに。 それを気にすることもなかった。 「神無月さんさあ。 俺に勉強教えてくんない?」 そう言ってオレの神は現れた。 茶色い髪に、榛色の瞳をした土御門春樹。 ハル。 ハルは盗賊の神みたいに現れて、あっという間にオレの心を捕まえてしまった。 オレは生まれて初めて、誰かと繋がった。そんな風に思うんだ。
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