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「美加ネエ!久しぶりだな……
何年ぶりだ?」
「高校卒業以来だから十一年ぶり
……しかし隆!お前、可哀想だな…
まだ若いのに、ずいぶんとピカピカに禿げちまいやがったなぁ」
隣に座る隆円の頭を見上げ、笑いながら美加が言った。
オーバーサイズの古着のフライトジャケットに、着古したブルージーンズ。男っぽい服装ではあるが、気の強そうな大きな瞳が印象的な美人である。
「これは剃ってるんだよ!」
頭を赤く上気させながら隆円が答えた。
「……ハゲ」
「だから違うって!」
「つるぴか!!」
美加が隆円をからかう毎に、隆円の頭皮が赤みを増した。
美加は、常にテンションが高めな性格なのだが、十一年ぶりの再会を、いきなりのハイテンションで押し切るような女では無い。
しかし、赤く染まる隆円の頭が、美加のツボにはまったらしく、隆円をからかっては一人で笑い転げている。
「……とりあえずは元気そうだな。
ウチの上客をあまりいじめるなよ」
呆れたように言いながら、辰也が美加の前に水の入ったグラスを置いた。
次に少女。そしてその隣の席にもグラスを置く辰也を、美加が不思議そうに見つめる。
「えっ!?……辰也。私達は二人だぞ。
何でグラスが三つ?」
「あれっ?三人じゃ無かったか?」
辰也が照れたように苦笑いを浮かべた。
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