6/12

155人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「美加ネエ!久しぶりだな……  何年ぶりだ?」 「高校卒業以来だから十一年ぶり ……しかし隆!お前、可哀想だな… まだ若いのに、ずいぶんとピカピカに禿げちまいやがったなぁ」 隣に座る隆円の頭を見上げ、笑いながら美加が言った。 オーバーサイズの古着のフライトジャケットに、着古したブルージーンズ。男っぽい服装ではあるが、気の強そうな大きな瞳が印象的な美人である。 「これは剃ってるんだよ!」 頭を赤く上気させながら隆円が答えた。 「……ハゲ」 「だから違うって!」 「つるぴか!!」 美加が隆円をからかう毎に、隆円の頭皮が赤みを増した。 美加は、常にテンションが高めな性格なのだが、十一年ぶりの再会を、いきなりのハイテンションで押し切るような女では無い。 しかし、赤く染まる隆円の頭が、美加のツボにはまったらしく、隆円をからかっては一人で笑い転げている。 「……とりあえずは元気そうだな。  ウチの上客をあまりいじめるなよ」 呆れたように言いながら、辰也が美加の前に水の入ったグラスを置いた。 次に少女。そしてその隣の席にもグラスを置く辰也を、美加が不思議そうに見つめる。 「えっ!?……辰也。私達は二人だぞ。  何でグラスが三つ?」 「あれっ?三人じゃ無かったか?」 辰也が照れたように苦笑いを浮かべた。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

155人が本棚に入れています
本棚に追加