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「凄いなぁー 桃ちゃんはもうコーヒーが飲めるのか……ミルクいっぱいに入れたカフェオレにしようか?」
辰也の問い掛けに、桃華が首を横に振った。
「桃華はコーヒーが飲めない筈だけど……
この子、私に似て頑固者なんだ。
……コーヒー出してくれるかな」
困ったように笑いながら美加が言った。
「美加ネエ……
ハルから話しは聞いてるよ。
その…何だ…大変だったな。
少しは落ち着いたのか?」
「……んん……マジでボロボロ……
この前、旦那の三回忌が終わったんだ」
美加は隆円の問いに答えると大きくため息をついた。
ハルと言うのは近所の花屋の娘の晴美。隆円の同級生である。
辰也。美加。隆円。晴美。
幼少の頃から四人の結束は固く、高校を卒業すると町を離れ、音信不通に近い美加ではあったが、何かある度に晴美とは連絡を取り合っていた。
辰也と隆円が、二年前に美加が夫を亡くした事を知っているのは、晴美からの情報だった。
「まあ、人生いろいろ………
人それぞれに山あり谷ありだからな。
でも、美加ネエの」
「ダテにつるぴかじゃ無いな。
坊さんらしい台詞が板に付いてるぞ」
隆円の言葉を遮るように、美加が明るく笑った。
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