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だがそれは
どこか悲しい響きの笑い声……
美加のハイテンションな言動の裏には、ひっそりと影のように付き従う哀しみが隠れている事に、辰也も隆円も気が付いていた。
「ったく……ホントに似た者親子だな。
二人とも、俺の前で無理するんじゃねえよ」
突然、辰也が呆れたように言った。
真剣な眼差しで桃華を見つめているが、カウンターの向こう側で何か作り出した様子である。
辰也の視線に誘われて、美加と隆円が桃華を見ると、桃華は、やはりコーヒーが苦手だった様子で、無言でコーヒーを口に運ぶのだが、一口ごとに目を閉じてゴクリと飲み込むと、その後で口をへの字に曲げて苦そうな表情を浮かべていた。
顔が可愛いだけに微笑ましくもあるのだが、この繰り返しで、既にコーヒーカップの半分以上もコーヒーを飲み続けていた桃華は、涙目になっている。
「桃は根性あるなあ。でも、コーヒーは我慢して飲まなくて良いんだぞ」
辰也は、桃華の頭を優しく撫でながら、コーヒーカップを桃華の小さな両手からそっと取り上げた。
「ひょっとして、この子、ブラックでコーヒー飲んでたの？」
驚きの声を上げながら桃華を抱き締める美加に、辰也が微かに微笑む。
「知らない所に来て不安なのかな……
ママの真似して頑張ってたんだろうな」
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