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美加が泣いているのを桃華が心配そうに見つめていた。 「ママ、何で泣いてるの?  ………美味しいよ  ママも飲んで良いよ」 小さな声でそう言って、ミルクセーキの入ったグラスを美加に差し出した。 「ママにもくれるの?  桃華は優しいね」 泣き笑いの表情を浮かべて、ストローに口を伸ばしかけた美加の額で『パチン』と小気味良い音が響いた。 辰也が美加の額を指で弾いたのである。所謂デコピンと言うやつだ。 「痛っ!! 辰也、てめえ何すんだよ!」 「それは桃の為のスペシャルドリンクだ。  お前が飲んだら金取るぞ」 「えっ!? おごりなの?」 「お前から金取るわけ無いだろ」 美加が一瞬嬉しそうな表情を浮かべた。 「当たり前だ!    でも、一口ぐらい良いだろ!」 「ダメだ」 「良いじゃん! ケチ!!」 ストローに口を伸ばそうとする美加の額を、辰也が人差し指で制止する。 「娘が飲んでる物を味見するのは母親の義務だ」 「俺が作ったんだ。  ………不味いわけないだろ」 ……頭上で繰り広げられる二人の攻防に 「クスクス」と桃華が笑った。
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