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「美加。そう言えばお前 『ただいま』って言って、ここに入って来たよな?」 「うん………  この町で、この子と二人  人生やり直そうと思って」 「……そうか。  帰って来たのか。家は?  この辺に住むのか?」 「兄貴のアパート。 あいつ、親父が持ってた土地に、賃貸のアパート建てただろ?家賃はタダで良いって言ってくれたんだ」 「何だかんだ言って、やっぱり兄妹だな。兄ちゃんも良い所あるじゃん」 美加の両親は美加が中学生の頃に、交通事故で他界しており、五歳年上の兄が親代わりだった。 美加が高校卒業後、この町に寄り付かなかったのは、この兄と反りが合わなかった為である。 「相変わらずシケた奴だよ。借金頼んだら、そっちは断られた。 まあ、奥さんが、かなりしっかりした人だから、家賃がタダって言うだけ、ありがたい話しなんだけどね。 お金無いから、早く仕事探さなきゃ。  何か良い仕事無いかな?」 明るい口調ではあるが、どこか疲れたような様子だった。 「旦那さんは生命保険とか入って無かったのか?」 隆円の問いに、美加が口を開きかけたが、桃華を横目でちらりと見ると無言で頷いた。
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