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「美加ネエは、今までどんな仕事をしていたんだ?」
「旦那が死んで、なるべく稼ぎたかったから……最初はキャバクラ行ったけどダメで、トラック乗って配送の仕事してた」
「お前にキャバは無理だ。
そっちの方が向いてるな」
「何でだ?美加ネエなら美人だし、明るいから直ぐに売れっ子になれるのでは?」
呆れたように言う辰也に隆円が尋ねた。
「こいつの性格考えてみろよ。
三日と持たねえよ」
「チィッ…さすが辰也。
お見通しだな。
だけど残念。三日どころか一日持たなかった」
「一日持たなかったって何で?」
驚く隆円に美加が笑いながら答えた。
「客がいきなりスカートに手を入れようとしたから、ぶん殴った」
隆円が苦笑しながら納得したように頷いた。
「そう言えば辰也!
お前、歌舞伎町でホストやってたんだって?」
「……えっ!? し‥知ってたのか」
辰也にしては珍しく動揺した。
そんな辰也を一瞬だけ切なそうに見つめて、直ぐに笑い飛ばすように美加が明るく笑った。
「お前ならホストも上手くやれたんだろうな」
「当然だろ」
「女の敵め!結婚は?」
「まだだ」
「彼女は?」
「いない」
辰也の答えに、驚いたような表情を浮かべたが、安心したような笑顔に変わった。
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