8/10

155人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「そっかぁ……  みんな頑張ってるんだな。  でも、辰也の事だ…… 只の販売協力じゃ無いだろ?」 疑惑のこもった視線で、笑いながら美加が辰也を睨み付けた。 「ケーキは五十円引きで買い取って、ケーキセット六百円……たこ焼は五十円引きで百円増し。焼き鳥は三十円引きで五十円増し」 「セコい!!」 「これが商売だ」 即答する美加に、辰也が涼しい顔で答える。 「辰也なら料理上手そうだし、普通に商売できるだろ」 「俺は面倒な事はやらない主義だ」 「まあ……それも   ……辰也らしいけどな…」 「こんなちっぽけな店で、あれもこれもじゃ、材料費で赤字になっちまうよ。 これでも、独り身の俺には充分過ぎるくらい儲かっている。 人の心配より、お前これからどうするんだ?」 「仕事探さなきゃな………」 深いため息と共に美加が答えた。 「仕事は何とかなるとして、桃華ちゃんはどうするんだ?」 隆円が尋ねた。 「不安だけど、やっぱり学童保育かな……」 「俺は保育園やってるし……俺の所でも良いけど、ハルの家は?美加ネエの娘なら、ハルもひな乃さんも大喜びで引き受けてくれるぜ」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

155人が本棚に入れています
本棚に追加