155人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「そっかぁ……
みんな頑張ってるんだな。
でも、辰也の事だ……
只の販売協力じゃ無いだろ?」
疑惑のこもった視線で、笑いながら美加が辰也を睨み付けた。
「ケーキは五十円引きで買い取って、ケーキセット六百円……たこ焼は五十円引きで百円増し。焼き鳥は三十円引きで五十円増し」
「セコい!!」
「これが商売だ」
即答する美加に、辰也が涼しい顔で答える。
「辰也なら料理上手そうだし、普通に商売できるだろ」
「俺は面倒な事はやらない主義だ」
「まあ……それも
……辰也らしいけどな…」
「こんなちっぽけな店で、あれもこれもじゃ、材料費で赤字になっちまうよ。
これでも、独り身の俺には充分過ぎるくらい儲かっている。
人の心配より、お前これからどうするんだ?」
「仕事探さなきゃな………」
深いため息と共に美加が答えた。
「仕事は何とかなるとして、桃華ちゃんはどうするんだ?」
隆円が尋ねた。
「不安だけど、やっぱり学童保育かな……」
「俺は保育園やってるし……俺の所でも良いけど、ハルの家は?美加ネエの娘なら、ハルもひな乃さんも大喜びで引き受けてくれるぜ」
最初のコメントを投稿しよう!