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ひな乃と言うのは、晴美の母親で、美加を娘同様に可愛がってくれた人物である。
「あの二人なら、安心だし、断らないと思うけど、ハルだってもう結婚してる。
ハルの旦那を私は知らないし、ハルはまだ子供居ないんだろ?……頼めないよ」
二人の会話を桃華がうつむきながら聞いていた。
美加にとって桃華は心の支え。
桃華が居たから美加は、旦那を亡くした後も頑張ってこれたのである。
だが、桃華は自分が母親の負担になっていると、子供ながらに思っている様子で、悲しそうな表情を浮かべると、彼女にとっては必死の努力でポツリと口を開いた。
「……ママ……
私もうすぐ三年生。
一人でお留守番出来るよ」
小さな声だった。
不意に辰也が桃華の頬っぺたを、人差し指と親指で摘まむように引っ張った。
「おお!ぷにぷにしてる……
桃、お前可愛いな。
………ウチに来るか?」
桃華がコクりと頷いた。
だがそれは、辰也の言葉の意味がわかったわけでは無い。満面の辰也の笑みにつられて頷いたのである。
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