10/10

155人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「美加! そう言う事だ」 「そう……って?」 「桃は俺が預かる。 お前はしっかり稼いで、仕事帰りに桃を迎えに来い。……そうだな、ついでに二杯まではタダ酒飲ましてやる」 「辰也…………良いのか?」 「桃は可愛いからな……    よろこんで!  って感じで引き受けるさ。 桃、学校終わったらここに帰って来るんだぞ。 良いな?」 桃華が頷いた。 今度は辰也の言葉の意味がわかった上での事である。 「話しは決まりだな。  引っ越しまだ途中なんだろ?  隆連れてって、終わらしちまえ」 隆円がスッと立ち上がった。 辰也が隆円にナポリタンを手渡した際、『腹ごしらえ』と言ったのはこの事だったが、それは隆円も承知していた。 「まだ家具の移動とかあるんだろ?」 隆円が美加に言ったが、それに答えたのは桃華だった。 「ママ。私、つるぴか嫌い!!」 はっきりとした口調だった。 「……やっぱりわかってたか。 隆、ゴメン。桃華は何故か坊主が嫌いなんだ」 困ったように美加が言った。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

155人が本棚に入れています
本棚に追加