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「美加! そう言う事だ」
「そう……って?」
「桃は俺が預かる。
お前はしっかり稼いで、仕事帰りに桃を迎えに来い。……そうだな、ついでに二杯まではタダ酒飲ましてやる」
「辰也…………良いのか?」
「桃は可愛いからな……
よろこんで!
って感じで引き受けるさ。
桃、学校終わったらここに帰って来るんだぞ。
良いな?」
桃華が頷いた。
今度は辰也の言葉の意味がわかった上での事である。
「話しは決まりだな。
引っ越しまだ途中なんだろ?
隆連れてって、終わらしちまえ」
隆円がスッと立ち上がった。
辰也が隆円にナポリタンを手渡した際、『腹ごしらえ』と言ったのはこの事だったが、それは隆円も承知していた。
「まだ家具の移動とかあるんだろ?」
隆円が美加に言ったが、それに答えたのは桃華だった。
「ママ。私、つるぴか嫌い!!」
はっきりとした口調だった。
「……やっぱりわかってたか。
隆、ゴメン。桃華は何故か坊主が嫌いなんだ」
困ったように美加が言った。
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