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数は少ないが、女のトラックドライバーが特に珍しいわけでは無い。
会社でフォークリフトの免許も取らせて貰ったし、何より私は車の運転が大好きだった。
そんな私にとって、仕事は楽しい物だった。
だが、半年前……
交差点を直進した私の車に、居眠り運転で信号無視のトレーラーが横から突っ込んで来た。
私の車は横転し、私は一ヶ月間の入院生活。
入院中、何度も事故の瞬間の夢を見てうなされた。
その度ごとに
もしも、私が死んでしまったら……
考える度に、真っ暗な闇の中で独り、泣いている桃華の姿が目に浮かんだ。
退院した私はトラックを降りた。
車のハンドルを握る事が怖くなってしまったのだ。
会社の計らいで私は事務職へと回された。
慣れないデスクワーク。
……ちょっとしたミス
動揺した私は、なし崩しにミスを繰り返した。
その結果
同僚を巻き込んでの残業……
くたくたに疲れ果てた身体で、電車に飛び乗り家路を急ぐ。
ポケットから携帯電話を取り出して、待ち受け画面を見つめた。
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