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可愛い桃華の笑顔。
頑張らなきゃ!!
頑張らなきゃ!
頑張らな…………
何度も繰り返してきた、自分自身への叱咤激励。
私は桃華のママなのだ。
何が何でも私が頑張るしか無い。
頑張るしか無いのはわかっている!
……わかっているけど………
その瞬間、私の中で何かが『ポキッ!!』っと音をたてて壊れた。
『もう無理!!』
私の心が悲鳴を上げた。
…気がつくと私は泣いていた。
電車の窓ガラスに映る泣き顔の私。
紫紺の風景を流れる家の灯……
BADな気分の時に視界に映る家の灯は、何時だって望郷の念を駆り立てる。
私がまだ桃華のママじゃなかった頃。
私がまだ私と言う存在だけでいられた頃……
私のそばにはアイツが居た。
何時からなのかは覚えていないが、物心が付いた頃には既にアイツは私の隣に居た。
私が嬉しい時。楽しい時。悲しい時……
いつもアイツは私の隣に居た。
そして私がピンチの時には、いつもアイツが私を助けてくれた。
アイツは私のスーパーマン……
「……辰也」
無意識にアイツの名前を呟いた。
(帰ろう。故郷へ……)
あの瞬間、私は帰郷を決めた。
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