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中学生になって、あちこちに女を作った辰也ではあるが、所謂、腐れ縁ってヤツなのか……アイツは常に私の身近にいる存在だった。
『……どこが良いんだよ?
私の方が百万倍可愛いだろ!!』
ってな女とイチャついている時だって、私がピンチの時は必ず駆け付けて来た。
私も辰也も不良と呼ばれる類いだったから、ピンチ、イコール喧嘩の場合が多かったが、喧嘩は辰也が私の先回りをして相手を潰してしまうので、高校二年生の頃には、私に敵は居なくなってしまっていた。
男は殴り倒すとして……私の女の敵を、辰也がどうやって排除したのかは知らない。知りたくもない。
あの頃、辰也は男にとっても、女にとっても最強と呼ばれる奴だった。
(……寒いな)
夜風で身体が芯から冷えきっていた。
私はタバコを灰皿で揉み消すとコンビニを後にした。
(風邪でも引いたかな……)
無性に寒かった。
取り敢えず、生活のメドは立ったが、将来を考えると不安だらけで、身も心も冷えきっている。
人肌が恋しい……
そんな夜がある。
誰かに抱き締めて温めて欲しい。そんな気分だった。
(店、まだ開いてるのかな?)
バーボンでも飲んで、身体を温めようと辰也の顔を思い浮かべたが、私はそのまま家路に着いた。
(……危ないよな)
今夜は酔ったらきっと……
私は辰也を押し倒してしまう。
私は一人、苦笑した。
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