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子供も参観者達も、見ず 知らずの辰也に興味津々で、中にはうっとりしたように辰也を見つめる者も少なくは無かった。 整った容姿に、知的でクールな風貌。 洗練された、優美さすら感じる身のこなし。 教室内で辰也は、あきらかに異質で浮いていた。 「辰ちゃん!」 一人の女子児童が辰也に声を掛けると、一斉に周囲の視線が少女に向けられた。 少女は恥ずかしそうに顔を赤らめながらも、得意気に嬉しそうな笑みを浮かべた。 少女の名前は朝倉桃華。 口数の少ない、控え目な子供ではあったが、凛とした瞳の、クラス一番の美少女だった。 辰也は桃華に向かって、手首を返して指をひらひらさせると、微かに口角を上げた。 (………でかくなったな) しみじみと思った。 桃華は辰也の幼なじみ、朝倉美加の一人娘である。 父親は六年前に他界して、母一人子一人…… 東京から帰郷した美加が、辰也の営むカフェに訪れた際、二人の間で交わされた約束。 その結果、毎日店に訪れる桃華は、独身者の辰也にとって、限り無く娘に近い存在だった。
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