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『辰ちゃんはカッコいいんだから、ビシッとキメて来てよ!』 昨夜の桃華の言葉に、桃華も外見を気にする年頃になったのかと言う、何処かくすぐったいような軽い驚き。 そして今、自分を誇らしげに呼んだ桃華の想い…… 離婚が珍しい事では無い、今ではある。 しかし子供にとって、親が一人しか居ない事は、特別ではなくても普通では無いのだ。 自分は桃華の父親では無いし、美加と付き合っているわけでも無い。 だが今だけでも、桃華の自慢の父親でありたい。 そう思いながら桃華を見守る辰也の姿は、優しい父親そのものだった。 (………本当に良かった) 教室で元気に笑う桃華の姿を見て、あらためて思った。 桃華と初めて会った四年前、桃華は笑うどころか、人と満足に会話すらしない子供だった。 いつしか辰也は、当時に思いを馳せて瞳を潤ませていた…………
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