王子、勇者になる。

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俺の名前はコーネリアス。俺の親父は一国を統べる、いわば国王だ。 そして俺はそんな親父の一人息子で、誇り高き王族の血統を受け継ぐ王子というわけだ。 この国はここらを統括していて、決して小国ではない。むしろ領土拡大中の大きい王国だ。 親父の見た目は、服がキンキラキンで背が小さくて小太りでビール腹だ。 目は海のようなコバルトブルーで、髪は金色に煌めくブロンズ、おまけに綺麗にカールされているヒゲもまた金色ときた。 対する俺は長めに切ってある漆黒の髪と、つり上がった光のない黒い目、意地悪そうに歪んだ口元。まるで地獄の使者のような風貌だ。 この国ではほとんどの国民が金髪なので、俺の黒髪がやはり目立つらしい。気味悪がるやつもいるが、俺はどう思われようが気にしない。俺の勝手だからな。 だが親父とは全く似てない気がする。 親父は社交的で温和な性格で、誰からも好かれる存在だ。もちろん国民にもだ。 俺はどちらかというと社交界などは苦手だ。面倒臭い。それに俺の傲慢さには国民全員のうちで知らぬものはいない。 おっと、話が逸れたな。 そんな親父は一人息子の俺を次期国王としたいらしいのだが…。 俺は国王になんぞなりたくもない。 親父みたいにパーティ開きまくるとか考えただけでも胸糞悪い。 だが、親父の願望とは裏腹に、影では国民の多くが俺が国王になるのを反対しているらしい。 そらそうだろう、俺は滅多に表には出ないし親父が俺に甘いせいでワガママしほうだいだからな。 そして今も自室でゴロゴロしながら本を読んでいる。 国民どもは、俺の従兄弟のエイドリアンが次期国王に相応しいと思っているようだ。 エイドリアンは、勉強も剣術も軍事の知識も熱心に取り組んでいる国王候補の一人で、温和で気のいい性格をしている。パーティや舞踏会も大好きな奴だ。
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