王子、勇者になる。

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エイドリアンは赤の王子服か。かなり派手だな。 しかし従兄弟のエイドリアンは親父と同じく綺麗な金色の髪をしていて、よく似合っているのがイラッとくる。 それにしても…見る度にいつも思わされるんだが、こいつと親父はそっくりだ。金色の髪に、いつもふんわりと上がった口元、物腰柔らかな雰囲気。どこをとっても、何故か息子の俺より親父の血が濃く出ている。 「ヴェルトールさんは昨日帰ってきたんですよね?」 「はい、よくご存じで」 「いつもこの国のためにお疲れ様です!移動ばかりで疲れているだろうに……今日は部屋で休んでは?」 「いえ、それには及びますまい。お気遣い有難う御座います。それはそうと、エイドリアン坊ちゃんは見ない内に大きくなられましたな」 「ふふっ、そうですか?やったぁ!」 俺を無視してきゃっきゃと楽しそうに話すエイドリアンとヴェルトール。 そしてその空気をぶち壊す俺。 「ああ、エイドリアン。その服、かなり似合ってるぞ。でもお前リンゴにでもなりたいのか、そうかリンゴリアンか」 俺がニヤニヤしながら意地悪な事を言えば、エイドリアンはムッと顔を顰めた。 「うるさいなぁ、僕はヴェルトールさんと話をしているんだから邪魔しないでよ。…それにコーネリアスもパーティに出席するの?もしそうだったら明日は嵐じゃない?」 「はいはい。嵐かもねー。エイドリアンは今日なんのパーティか知ってるか?」 「コーネリアス…!!…まぁ、今日のパーティについてはほとんど何も聞かされてないけど…」 親父は何を企んでいるんだ? エイドリアンにまで知らされてないとなると、誰にも詳細は言ってないのだろう。 悪い予感がする…。 「おい、ヴェルトール。こんな奴ほっといて早く行くぞ」 これ以上エイドリアンと喋っているのも面倒だ。 俺はフン、と鼻で笑いながら、ツカツカと歩き出す。 ヴェルトールは「それでは後ほど、エイドリアン坊ちゃん」と会釈して、慌てて俺の後ろを追い掛ける。 「ヴェルトールさん…!!」 なんか後ろから耳障りな声がするが無視しておこう。
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