60人が本棚に入れています
本棚に追加
「何をしている?命令が聞けないのか?」
俺がそう声を掛けてやると、我に返ったミッシェルはとても動揺していた。
「わ、私が…で、ございます…か?」
「なんだ文句でもあるのか?」
「も、文句など…ございません…」
「なら早くしろよ、大事な主人が風邪引くぞ。ほら、カモーン」
俺は意地悪そうに口角を歪め、ミッシェルを急かしたてる。
ミッシェルはというと頬を真っ赤にして唇を噛み締め、俯いている。
「ん?どうした、何か問題でも?」
「い、いえ…し、失礼します…」
意を決したミッシェルは、俺のすぐ前まで近づきタオルで俺の頭を優しく拭いた。
まさか本当にするとは思っていなかった俺は、ミッシェルの行動に呆気に取られ身動き一つとれなかった。
口をぽかんと開けて方針状態の俺に、ミッシェルは、ものすごく申し訳なさそうに話しかける。
「こ、コーネリアス様…無礼は承知で申しております…ですが…どうか髪だけでご勘弁を…っ」
執事の分際で俺に願い事をするなど無性に腹立たしいが、まぁ…今日はミッシェルのいろんな表情がいっぱい見れたしな。今日はこれで許してやろう。
鉄仮面ミッシェルは本日付でぶっ潰れたようだ。
今日からは赤仮面ミッシェルと名付けよう。
「わかったよ、お前はもう下がって良い」
深く頭を下げるミッシェルに、俺は優しくそう言ってやる。
「…ありがとうございますっ…!それでは、失礼致しました…」
バスローブを俺に渡すと、ミッシェルは軽く頭を下げてシャワールームを後にした。
顔は赤いままだったが。
最初のコメントを投稿しよう!