60人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は、純白のバスローブに身を包みシャワールームを後にする。
今日は何を着てパーティに出席しようか…。
「コーネリアス様、本日のお召し物は何になさいますか?」
突然後ろから声がしたので、ビックリたまげて声も出せずにバッと振り向くと、さっき出て行ったはずのミッシェルが背筋を伸ばして立っていた。
こいつっていつ見ても、なんでこんなにあり得ないくらい姿勢がいいんだ…?
「び、ビックリするだろ!いるならちゃんといるって言えよ!つーかお前なんでまだ俺の部屋にいるんだ?」
「はい。一度このお部屋を退出したのですが、コーネリアス様のお召し物をお選びする手伝いをさせていただきたく、即座に戻って参りました」
「ふーん…なるほどな。じゃあ時間もないし、さっさと始めてくれ」
「かしこまりました。最近の流行ですと、赤のこの服が宜しいかと思われますが如何でしょう?」
そう言って機械的にクローゼットからド派手な真っ赤の王子服を取り出すミッシェル。
表情はいつも通りの鉄仮面に戻っていた。
赤仮面はどうした、赤仮面は。
そんなことよりなんだその服…信じられん。俺がそんな服を着るとでも思ったのか?
「お前は何ふざけたこと言ってやがるんだ?」
「は?」
「俺は目立つのが大嫌いだ。それはミッシェル、お前もよく知っているはずだが…?それともそれを知っていた上で俺に嫌がらせをしたいのか?」
「いえ、そんなつもりは…」
「だよなぁ!もしそうだったらお前ギロチンおくりだからなぁ!」
「も、申し訳ありません…。では、本日は何を着ていかれますか…?」
「んー…じゃあいつもの黒いソレを用意しろ」
俺はパーティ時にいつも選んでいる黒い王子服を指差す。
たくさんある王子服の中で一番地味なのがこれなのだ。それでもやはり金の刺繍などや装飾品のせいで派手なのは変わりないがな。
「承知致しました」
ミッシェルはそう言うと、それに合う靴やソックスをわずか5秒で選び出し、それら一式を持って俺を衣装部屋にエスコートする。
最初のコメントを投稿しよう!