第1話

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始業のチャイムが鳴った。 俺はチャイムを高1-3の教室できいた。 つまりは、自分の教室です。 その時、スマホが鳴った。 メールだ。 「んだよ…雅也からかよ…」 はっきり言ってみたくない。 けど、見るしかないよね。 件名:早速だが 本文:今日さ学食まで走って、天丼買ってきて。 お金はもちろん払うから。 手下第一号の仕事はこれな? じゃ、そういうことで。 ある意味、予想どうりでした。 天丼ぐらい自分で買いにいけよとか思いながらも、俺は渋々「りょーかい」と短く返信した。 送信ボタンを押した直後メールが届いた。 やけに、早すぎる返信だなと思いながらメールを開いた。 件名:〈無題〉 本文:〈添付ファイル有り〉 メールはこれだけだった。 不思議に思いながら俺は添付ファイルを開いた。 するとそこには、机の上に100円玉3枚、50円玉1枚置かれた写真だった。 さらに、その画像の下の方に編集で加えられた、「これでよろしく(ハ-ト」と書かれていた。 350円…。天丼の金額か…。そして、これでよろしく…。 「ふざけんな!!!」 俺は叫びながらその場に勢い良く立ち上がった。 俺だけじゃないはずだ!こんなことされて、こうなってしまうのは俺だけじゃないはずだ! そう、自分に言い聞かせた。 そうやって、自己暗示していると頭をなにかで叩かれた。 「いてっ」 振り返ると担任の先生が日直日誌片手にいかにも不機嫌そうな顔をしてたっていた。 「ふざけてるのは、お前だろ。こんな朝早くにさけんでるんじゃない」 30代後半の長身の男が、これでもかというぐらい低い声で俺に言った。 「あ、はい、すいません。気をつけます」 雅也のやつ覚えてろよ…。 そう思いながら俺は席についた。
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