第1話

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家を出て数分。 何もない田舎道をひたすら歩く。 ここは、発展途上の田舎町である。 最近は近代化と言って、至る所で工事が始まり、ビルやマンションなどの建築がされている。 駅まで歩くこと10分。 そろそろ最寄りの駅が見えてきた。 いつもなら、引っかかることのない踏み切りに引っかかり、遮断機の前で立ち止まる。 ちらっと、左腕の腕時計を見て俺は言葉を失った。 「は?7:15?なんで?」 どう考えてもおかしい。 俺は6:40に家を出た。それで今は7:15? 俺は35分間も歩いたのか? 「そんなわけあるか!」 叫んだ途端、目の前を電車が通過した。 俺が乗るのは、7:16。今は7:15。 それで、今駅に止まって。あぁ、今出発ですか。 「ちょっと待て!あれって、俺が!あぁ…」 出発した。電車に乗り遅れた。 今はそれがわかってるだけの頭です。 それ以外わかりません。ははは…。 踏み切りを渡って、数メートルで駅の待合につき、定期券を改札口にタッチしてホームへ向かう。 やはり7:16発の電車は行ってしまった後だった。 はい、遅刻決定です。 俺が通ってる学校は8:30までに教室に入らなければいけない。 そして、ここはド田舎。 次の電車は30分後の7:46。 学校の最寄り駅まで約20分かかる。 さらに、駅から学校まで歩いて30分 最寄駅が、最寄りじゃない…。 俺は今まで生きてきた中で最大級のため息をついた。 それもそのはず。俺はこれで12ヵ年皆勤の夢が終わりを告げたからだ。 小学校から続けてきて、高校1年となった今まで皆勤してきたのに…。 俺は頭が真っ白になり、近くのベンチに腰掛けた。 「もう、何も考えず電車を待ちますよ…」
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