第1話

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することもなく呆然とベンチに座ってると突然、制服のポケットの中から電子音がした。 俺のスマートフォンにメールが来た通知音だった。 「メール?あぁ、雅也からか…。って、やっば…」 雅也とは、本名足立雅也。俺の学校の…親友だ。 悪友と言った方が適切かもしれないが…。 俺と雅也は普段同じ電車に乗って登校している。 そんな、雅也からメールがくるとは…。 恐らく昨日した約束のことだろ…。あぁ、怖くてみたくない…。 昨日した約束。それは、俺が雅也から借りた100円玉のことだ。 俺は昨日、家に財布を忘れてしまったが、どうしてもジュースが飲みたかった。だから、雅也にジュース代の100円を借りた。 そして、明日の朝に絶対返す!学校に着く前に返してやる!って言ってしまった。 そのことを今思い出しました。すみません、雅也様。 たしか、返せなかったら俺は3日間雅也の手下にならなければいけないのだったよな。 恐る恐る雅也から届いたメールを見てみる。 件名:(^ω^) 本文:いやぁ、木島蓮くん。これで君は僕の手したね。あざっす。 はい、予想的中です。これで木島蓮くんは足立雅也様の手下です。 あ、木島連ってのは俺のことね? 誰に言ってんだ俺…。頭おかしくなったな…。 俺はスマホの画面を見てるのが嫌になり、再びポケットに押し込んだ。 踏み切りの遮断機が降りる音が聞こえた。 やっと、電車が来てくれた。 さっさと学校に連れてってくれ。 そんなことを考えながら立ち上がると、ホームに電車が入ってきた。 俺はそれに乗車した。 電車の中は比較的すいていて、楽に座席に座ることができた。 ここから電車で約20分か。目的の駅に着くのは8:05くらいか…。 いや、もうこの際どうでもいい…。 俺は今日何度目かのため息をついた。 それと時を同じくして電車は出発した。
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