第1話

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駅から歩き初めて何分たっただろうか。 正確には、走って疲れて歩きに変えてから、何分たっただろうか。 俺は腕時計を確認した。 「なんでだよ…。おかしすぎる…」 腕時計は8:05と表示していた。 景色的にはもう、半分くらいのところまで来ているのに、駅を出た時から時刻が変わっていない。 あぁ、そうか。時計の時刻が狂ってるのか。 俺は自分にそう言い聞かせた。 この時間ならここから歩いても余裕で学校に着く。 「その前に今日の昼飯買っておくか」 俺の学校には学食があるが、ハッキリ言ってそこまで美味しくない。 だから、俺は毎朝通学の途中道にある自営業のお弁当屋で昼飯を買っている。 実際、ここの弁当の方が100倍うまい。 俺は毎朝の習慣のようにお弁当屋のドアを開けた。 「いらっしゃい。おぉ、また来てくれたか?毎日ありがとな」 この店の主人のおじいちゃ…おじさんが出迎えてる。 これも毎朝のことだ。 「そりゃくるよ。学食よりこっちの方が美味しいんだからさ」 「それはありがたいが、たまには学食くってみんさいや。それか、自炊とかかの。はっはっはっ」 後半、笑いながら言ってるから何言ってるのかわかんないですよ、おじさん…。 「まぁ、いいじゃないか。とりあえずコレもらってくよ」 「あいよ、いつものこれか。350円ね。毎度あり。気いつけて学校行きなさいよ」 俺は精算をすませ、いつものとんかつ弁当を受け取る。 「おう、あんがと。そんじゃまた明日な」 「明日も来るのか」 お互い笑いながら挨拶をして、俺は店を出る。 が、ふと気になることがあった。 「おじさん、今何時?」 「あ?えぇーと8:10ちょい前だな」 「ありがと。そんじゃな」 腕時計は狂ってなかった。それが確認できた。 俺は店を出て学校に向かった。
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