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東谷千広、俺は立っていた。
ここは、寮の俺の部屋の扉の前。
正確には、新しい俺の部屋の扉の前だ。
この学校は、学年が新しくなる度に寮の部屋も変わる。
もちろん同室者もだ。
同室者だった、平凡受けのテンプレみたいな田中くんと離れるのは非常に不本意だったが、良い攻めと田中くんが同室になることを願い泣く泣く別れたのだ。
いい受けになれよ、田中くん!
そして、未だに俺は立っていた。
春の花粉に鼻がやられながらも、扉の前に立っていた。
なんで入らないのかって?
緊張してるんだよ!!!!
俺ってば結構なコミュ障なんだよ!
知らない人に向かっていきなりチャラ男全開でいくしかない俺の身にもなってよ!
同室の桐島 玲(キリシマ レイ)くんとやらは、どういう人なのか……。
だめだ全然分からん。
何故ならば俺は1年間、萌えの発信源であり萌えメーカーである生徒会ばかり観察していたせいで、他の生徒を全く知らないし覚えていないのだ。
もともと物覚えの悪いほうですし☆
だってここの学校、王道学園なだけあって生徒会の方々もとことん裏切らない性格してるんだもの!
観察してって言ってるようなものなんだもの!!
そんでなんの話だったか……。
そうそう! 新しい同室者のはなぶふぉ!!!!
頭の中で一人会話していると、突如目の前の扉が俺を攻撃してきた!
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