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「面倒ごとは持ち帰らないこと。それなのに千広はどうして転校生と仲良くなってるの? あれは完全に面倒に巻き込む人間だよね?」
俺は巻き込まれるのはごめんだ、と言う意味を込めてそう言ってみるも、千広はキョトンとした顔で首を傾げた。
「え、でもさ。渉はいい奴だよ? 生徒会とかにも興味無さそうだし」
違うだろ。いくらあの毬藻が生徒会に興味なくても、ウザイことには変わりない。
そもそもなんで千広はそんなにアイツを庇うの?
イライラが収まらない俺を余所に、千尋は続ける。
「玲くんは俺が規則を破ったことに怒ってるの? それなら玲くんだってさ! 今朝も帰りも、登下校一緒にしないとかできないとか言って、規則破ってるじゃんか! なんで俺だけそんな風に怒られな きゃ……んっ!」
俺の下で喚く千広の口を塞ぐのは、一瞬だった。
ただ、俺に何があったかも知らずに無神経に言葉を紡ぐこいつに、転校生のことを楽しそうにペラペラ話すこいつに、無性に腹が立っていた。
千広も、好きでもないやつに襲われる気持ちを味わえばいいと、子供みたいな考えで強引に唇を重ねたんだ。
「んぅ……ん……っ」
柔らかい唇にさらに強く押し当てると、鼻から抜けるような声がして千広が微かに口を開いた。
理性も何もなく、怒りに身を任せていた俺は、千広の口の中に舌を進ませる。
が、その時胸を強く叩いてきた千広によって、俺の理性が帰ってきた。
俺は何をやっているんだ?
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