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「手、離さないでね」
私は、にやっとして君を見た。
君は私とは違って、真剣な顔をしていた。
「離したくないけど、離れちゃったらどうしよう、悲劇だよ」
「じゃじゃーん」
「なにそれ。手錠? どうしたの」
「百均で百八円出して買った」
「壊れないの?」
「いいよ、最悪、壊れても。手、離さなきゃいいよ」
「そうだね」
「自信あるよ」
「わたしもだ」
そして私と君は、手を繋いで、紺碧に飛び込んだ。
銀色の水飛沫が、吊されたような太陽の白い光に煌めいていた。
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