神様が死んだ日。

9/9
前へ
/9ページ
次へ
 「手、離さないでね」  私は、にやっとして君を見た。 君は私とは違って、真剣な顔をしていた。  「離したくないけど、離れちゃったらどうしよう、悲劇だよ」  「じゃじゃーん」  「なにそれ。手錠? どうしたの」  「百均で百八円出して買った」  「壊れないの?」  「いいよ、最悪、壊れても。手、離さなきゃいいよ」  「そうだね」  「自信あるよ」  「わたしもだ」  そして私と君は、手を繋いで、紺碧に飛び込んだ。  銀色の水飛沫が、吊されたような太陽の白い光に煌めいていた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加