第1話

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親父へ あなたが嫌いでした。 あなたが大好きでした。 私は女の性として生まれ、かわいい長女としてかわいがってもらえました。今となっては、幼少期だけが親孝行、親父孝行できた自分かもしれません。 あなたが病室で、肝硬変末期の症状、アンモニアを分解できず脳にアンモニアが到達し、意識が朦朧とし、ただ心臓が止まらない。 どうにか酸素を送り込む呼吸器のせいで、あなたは、生きさせられ、 目を大きく開けたまま、妻を呼んでいた。 あなたの脳裏に、義理の母は焼き付いたまま、 死ねない。 どれだけ父が愛した人なのか、初めて理解した。 お父さん、三日が山だと15年前、私が高校生だった時、頑張り生き復帰してくれた。 あなたは今、四十九日を前にどこで何を想うだろう。 義理の母のそばにいるんだろうな。 たくさん釣りに行き、ばあちゃんが自殺した時も淡路島から急遽帰ってきた親父は何も言わず、何を考えていただろう。 あれだけ大嫌いだった親父は、夜中12時から朝方5時31分まで、意識がなくなっても… もう亡くなりますと医師に告げられようと、みんなに囲まれる中、 目を見開いたまま、酸素を送り込まれ、長い沈黙のなか…また ひとつ息をした。 あれだけ憎しんでたのに、もういいよって叫んでも、心臓が止まらない… 親父、心臓が止まっても、目を閉じない…無理矢理にでも生きていたかったのだろうか… 今も棺を明け方殴って、出てきてよって泣いた時、自分はあなたの子供に戻れた気がする。不器用な親子は辛いね… あなたの事が大好きです。いつまでも自分の心に父さんはいます。無事にばあちゃん、じいちゃんがいる場所に着きますように。 ありがとうお父さん!!自慢の父親でした!
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