第2話

7/12
前へ
/12ページ
次へ
「そこへ置いといて。いつも通り、面倒を見終わったら勝手に帰っていいから。鍵を渡してあるでしょう? あと朋子さん……少し痩せたほうがいいわよ? 豚と区別つかないから。それじゃまたね」 「はい、わかりましたー」 愛想笑いをたっぷり作り、キッチンへまた戻る。 姑は長男夫婦には甘い。ホテルのオーナーだった義三の後を受け継ぎ、社長の座を譲った恩で、生活費を長男から受け取っているからだ。 長男と次男、どちらが先に誕生したかの違いで、こんなにも確執が生まれてくるとは思わなかった。 愛もない冷め切ったこの状態では、貧乏くじを引いたとしか言いようがない。 ――我慢我慢。お金が貯まるまで、あと少しの辛抱だ。 一時退避したタオルを洗い、新しい水を汲み、部屋に置く。料理を取りに戻り、またあの異臭漂う部屋へ舞い戻る。 ――いつまでこの生活を繰り返さなくてはならないの? いっそのこと、死んでしまえばいいのに……。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加