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「そこへ置いといて。いつも通り、面倒を見終わったら勝手に帰っていいから。鍵を渡してあるでしょう?
あと朋子さん……少し痩せたほうがいいわよ? 豚と区別つかないから。それじゃまたね」
「はい、わかりましたー」
愛想笑いをたっぷり作り、キッチンへまた戻る。
姑は長男夫婦には甘い。ホテルのオーナーだった義三の後を受け継ぎ、社長の座を譲った恩で、生活費を長男から受け取っているからだ。
長男と次男、どちらが先に誕生したかの違いで、こんなにも確執が生まれてくるとは思わなかった。
愛もない冷め切ったこの状態では、貧乏くじを引いたとしか言いようがない。
――我慢我慢。お金が貯まるまで、あと少しの辛抱だ。
一時退避したタオルを洗い、新しい水を汲み、部屋に置く。料理を取りに戻り、またあの異臭漂う部屋へ舞い戻る。
――いつまでこの生活を繰り返さなくてはならないの? いっそのこと、死んでしまえばいいのに……。
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