第2話

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「ほら、美味しいでしょう? 大好物ですもんね。今日は奮発しちゃったんですよ」 「このうどんは本当に美味しいね。もっと食べたいなぁ……」 マグロもうどんも一緒ならば、今度は低価格なうどんを食べさせ、マグロだと言い張ろうと思う。 結婚当初は、私の名前も食品の銘柄も、ちゃんと理解していたのに、今はそれすらも分からなくなってしまった。 それだけではなく、義三のスイッチみたいなものがあり、オンになった時には久美子と呼ぶ。初恋の人の名前なんだろうか? 今度はホタテを口に運ぶ。二番手に義三が大好きなお刺身だ。 「美味しいうどんだね。いつも本当にありがとう。久美子……食事はあとでいいから、先に体を拭いてくれないか?」
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