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「ヨイショ……」
ショコラは背伸びをし
物干し竿に布団をかけると、
その様子を横で黙ってじっと眺めていた茶鉄に、
溜め息を盛大に込めた声で話し掛けた。
「…何デスカ? そんなボケーっとシテ。
暇ならコレ、布団。竿ごと外まで運んでクダサイ」
そんな呆れ顔のショコラに対し、
茶鉄はとても心外そうな表情を作って見せた。
「暇? 俺が? 今?
ばっか……お前、ショコラ馬鹿だなぁ。
未来の妻が俺の為に家事に勤しむ可愛い姿をさ、熱い視線で見つめる未来の旦那に『カッコイイデス…//』とかさ、思ってみたりしないの?」
「…………」
「…………何か言って!?」
切なそうな茶鉄をよそに、
ショコラは素知らぬフリで布団のシワを丁寧に伸ばしていた。
「………無視すんなよ……バーカ……」
むぅっと唇を尖らせ、
ショコラの浴衣の裾をツンツンとつまみ上げた。
「…………変デスヨネ」
「はぇ?」
ボソリと呟かれたショコラの言葉にキョトンとし過ぎてしまい、
なにやら奇妙な声が出た。
「随分甘え上手じゃないデスカ茶鉄サン。
昨夜ショコラに指一本触れずに布団を被って寝てしまった人と同一人物デスカ?」
「…っ…!!」
目一杯の皮肉を込められたその言葉に
茶鉄は背筋がビクッと伸び、危うく吊りそうになった。
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