プロローグ

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 真っ白な病室  ずっと変わらない見慣れた場所  部屋の入り口の私の名前【本條 琴美】と書かれたプレートもベッドの上のプレートも色褪せて物語るように長い入院生活を孤独に送っている日々  私は慣れてしまったの…捕らわれの籠の中の鳥のように外へ憧れを抱いても夢物語でしかないことに悲観することよりも今を生きて何かに笑顔でいることが出来たら凄く有意義だと思えるの  狭い病室と言う世界では難しいけど、私の手に収まる小さな四角い電話は世界と言う可能性を拡げてくれる  私の目となって耳となって代わりに飛び立ってゆくのは夢のようで儚いけど、それだけしか術がない私には仮想世界でも現実と隔てなく楽しめる居場所
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