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安っぽいB級映画みたいだ。
目の前に倒れている、頭が真っ赤に染まった男と、同じもので真っ赤に染まった自分の手を見て思う。
人を殺してはいけない。もう二十歳ともなればそれくらいは知っているし、もう何度と無く言われている。いや、わざわざ言う人はいない。社会全体がそんな空気だからだ。
何故殺してはいけないかを問えば、理由はなんだろうか? どんな綺麗な弁を並べても、心内は『罪になるから』やらないのだ。
もし、罪にならないのなら、人は平気で人を殺す……全員とは言わないが。
罰されるからやらない。やってはいけない。これじゃ飼育されたちょっと知能のある猿と変わらない。
だが、そんな飼育をされて来ても、俺はこうして目の前の男を見下ろしているわけだから、知能の無い猿だ。
いけないとは分かりつつ、大切なものを奪われた気持ちが勝ってしまった。
そんな所だ。
俺は罰される。猿とは違って、それは理解出来るし自ら償う事も出来る。だから最後に、自らへの皮肉も込めてこの男に言ってやるのだ。
「地獄で逢おうか、ブラザー」
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