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塾のある駅で待ち合わせを指定され、翌日の学校帰りの改札で颯大くんが来るのを待っていた。
「会える?」なんて何だろう…?
まさか…ね…
空はだんだんオレンジに染まり夕暮れがすぐそこまで来ている。
「愛菜ちゃん!急によびだしてゴメン!」
「!」
颯大くんの声に心臓がトクンと跳ねた。
…あの笑顔だ…
「こ…こんにちわ」
私、どもってるし…
「あのさ…ちょっと歩こう?」
「う…うん」
しばらく私達は黙って歩いた。
オレンジの夕焼けが私達の影をアスファルトに長く伸ばしている。
塾のあるこの駅は何度もきてるけど駅前を抜けるのは初めて。
小さな商店街を抜けるとすぐに住宅街になってしまった。
「あの…どこまでいくの?」
不安な声を出すと颯大くんはすぐにピタリと歩みを止め、左側を指差した。
そこには小さな川沿いの公園があった。
川伝いに続く道には桜の木が並び5月の若葉の匂いが鼻をくすぐる。
向こうに見える岸の道には犬の散歩をした人がのんびり歩いているのが見えていた。
「ここ…俺のお気に入りの場所…」
川沿いのフェンスに寄りかかり颯大君は笑った。
夕日が顔にあたり眩しい…
そして笑顔も…
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