第1話

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「最近、颯大君、塾来てる?」 木曜日の塾帰り。 いつものスタバで美鈴が突然言った。 「…え?なん…で?」 「単科クラスの男子から聞いたよ? 颯大君と…何かあった?」 眉を下げた心配顔で美鈴は首を斜めに傾げた。 私よりもずっと長い髪がサラリと肩から滑り落ちる。 「…何もないよー ほら、たまに来ないのはいつもの事だし。 いちいち連絡しないし。」 「…そうなの…?」 「だーかーらー! 別にハマってるわけじゃないんだからそんなに連絡しないよ? 来週あたりにはきっといつもみたいにアホなギャグ言いながら来るよ! 心配ありがと。 それよりさ、来週のセンター模試、会場どこにする?」 私は笑ってその場をごまかして話題を変えた。
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