第3章

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待ち合わせした駅は学校のある駅の隣の駅だ。 前に学校のマラソンで使ったことのある川沿いの道。そこにある公園は夕日がきれいでたまに学校から1人で歩いていくことがある。 電車を降りて改札に向かうと人混みの中に制服姿の愛菜ちゃんの姿が見えた。 高鳴る心臓を落ち着かせるように大きく深呼吸してから改札を抜ける。 「愛菜ちゃん!急によびだしてゴメン!」 顔を上げた愛菜ちゃんは驚いたのか紅潮していた。 うわ…かわいいな… この制服はT女子高校か。 「あのさ…ちょっと歩こう?」 「う…うん」 俯いた愛菜ちゃんと並びしばらく黙って歩く。 やべ…緊張してきた… 何話していいかわからないな… チラと愛菜ちゃんを見ると同じように俯いたままだった。 迷惑だったのかな…? いや…でも来てくれたし…。 「あの…どこまでいくの?」 頭の中でいろいろ考えているところに急に話しかけられビクリと体が揺れる。 ふと左側をみると公園にたどり着いていた。 「ここ…俺のお気に入りの場所…」 夕日に照らされて愛菜ちゃんは眩しそうに目を細めた。 「あのさ…良かったら」 「えっ?!」 愛菜ちゃんが思いの外、大きな声をだすもんだから俺はビックリして怯んでしまった。 「あ…無理ならいいんだ…無理なら」 俺…ヘタレだな… 「え!!」 愛菜ちゃんはさらに大きな声で驚き声をあげる。 え?って…え? 俺…なんか間違って失礼なこと言ったか? 手にジワリと汗が滲んできた。 愛菜ちゃんは目を大きく見開いて俺の次の言葉を待っている。 えと… どうしよう? どうする、俺?
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