第3章

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翌日、塾の廊下に出るとちらりと愛菜の姿が目に入った。 「あ!愛…」 声を出した瞬間、愛菜の後ろから美鈴ちゃんが声をかけ俺の声は届かない。 美鈴ちゃんと二人で何か話ながら教室に消えていく愛菜… 俺は愛菜の後ろ姿を見送るだけだった。 大切なことなのでメールや電話でなくてちゃんと向き合って話をしたい。 ブ-! 「!」 愛菜に声をかけることを諦めて自分の教室に入るとポケットの中でスマホが震えはじめる。 愛菜か…? -from 母- 塾を早退して家に帰ってきてください。塾へは連絡済みです。 「…え!早退…」 俺はため息を一つつき、荷物を掴むと急いで廊下に出て歩き出す。 結局、話せずじまいか… 階段を降りるときにちょうど講義が終わり何人かの生徒がでてきた。 一瞬呼ばれた気がして立ち止まったが2~3人の生徒が大きな声で話ながら俺を避けながら階段を降りていっただけだった。俺は足早にそのまま降り帰路についた。
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