第4章

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「颯大ぁぁぁ…!」 階段を上がりきった私は激しい呼吸を吐き出すように咄嗟に叫んでいた。 …しばらくすると三両先のドアから勢いよく人影が飛び出してくるのがみえる。 「愛菜ッ?!」 「…颯大…!」 私は必死に駆け寄り颯大のコートの裾を掴んだ。 「…颯大…私…」 息があがってうまくしゃべれない。 「17番線まもなくドアが閉まります」 放送が流れ発車サイン音が鳴りはじめる。 私達は互いの手をきつく絡ませた。 「愛菜…急な親の転勤を黙っててごめんな…大事な時期だから…どんな風に伝えたらいいのか…不安にさせてごめん…でも…俺、必ず戻ってくるからさ…だから…だから…」 「うん…待ってる… …私ね…わかったの…ちゃんとわかったの…颯大のこと… プシュン 大好き…」 最後の言葉はドアに消えた。
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