第1話

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ピョコと後ろの扉から顔を覗かせる。 「…あれ…?いない…」 「愛菜ちゃん、今日は颯大まだ来てないよ~?」 単科クラスの男の子から声がかかった。 「ありがとぉ」 …なんだ…まだ来てないのか…。 ため息を一つついて、 自分のクラスに戻りながらパカっと携帯を開く。 周りはみんなスマホだけど私はまだガラケー。 だって…新しいこと苦手。 慣れたものがいいもん。 そんな私を颯大は笑うの。 ―受信メール0件― 「…ない…」 どしたんだろ。 休むときはいつもメールくれるのに… 結局、講義に身が入らないまま、颯大はこないままその日の塾は終わりの時間を迎えてしまった。
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