第3話

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綾は我が子ながら、しっかりしているので本当に助かっている。言わなくても宿題はきちんとやり、着替えも上手。寝る準備も、学校の支度さえも、全て自分で出来る。 賢い綾を見れば見るほど、ゲームが長時間出来ると喜んでいる自分がいた。こんな私は母親失格なのかも知れない……。 昨日の残り物のカレーを温め、御飯によそう。 「今日ね、また大輔君が夢ちゃんを虐めたんだよ。ひどいよね! 拳骨で叩いたんだよ!」 キッチンに向かって大きな声で話しかけてくる。相手をするほど体力が余りない。いつも悪いなぁと懺悔する。これも介護を押し付けられている妻を守らない、夫のせいだ。 「分かった、分かった。明日の朝、聞くからね? お父さんはまたお部屋だよね? もう寝たのかな? 綾も21時になったら、テレビとお部屋の電気を消して、寝るのよ? お母さんは、ちょっと事務でのお仕事が残っているからお部屋に戻るね?」
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