第4話

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 池ふくろう前18時。テーブルの上には書置きを残してきた。 ――新人が急遽休んでしまったので、代わりに出勤になりました。最近休みがちな、その新人について話し合いたいこともあるので、夜は友人の恵美とご飯を食べてきます。少し遅くなります。 嘘っぱちの手紙。夫は私に興味がないのだから、気づくこともないだろう。それは寂しくもあるけど、今にとっては都合が良い。 もう止めよう。この気持ちは大分昔、自分なりに格闘し、とっくのとうに忘れたはずだ。 ――プルルル…… 携帯の電子音が鼓膜に届く。光沢のある小さなシャネルのバックから桜色の携帯を取り出した。
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