揺らぐ男

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グラグラと脳が揺すぶられて 眩暈がした錯覚に 真っ白になって、真っ黒になって 滅茶苦茶にノイズが走って 脳内に莫大な情報が叩き込まれたような 足元がふらついて、立ってるのがやっと 大丈夫かよと、腕を掴まれ 怪訝さで見つめた眼は四つ だって そこにいるのは 彼女、だけれど 彼女じゃない 別ものであって、そうじゃない 「アナタたちも、あの女にご執心な訳ね」 先ほどの笑みとは違う冷笑になった女は 「気をつけて」 そう、言った女は一躍して違うテーブルに 心配そうに様子を伺っているけれど 実際には女が気になるのか 心ここに在らず、の同僚は 意識は向こうに持っていかれて 自分もだからそれは感づくってやつで 「ごめん…」 動いた奴の肩を掴んで 既に口説かれていた彼女の隣を陣取って 彼女よりも、意識は向こう側の男に意識を向けて 破裂しそうなぐらいの心臓の鼓動なのに それを懸命にひた隠して 睨むように見入る男に いや、睨んでいるのか 余裕なんて無いけれど、ほぼ張ったりで出たとこ勝負
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