145人が本棚に入れています
本棚に追加
ベッド下に脱ぎ散らかしてあった服は
綺麗に片付けてあって
急いで身を整えてから部屋を後にした
帰る場所は分かっているから
すぐに追いつけなくとも良かったけれど
精算する時間までもがイラついた
少しだけ奮発したホテル
安っぽい所なんて
彼女には使いたくなくて
あの裸体を拝めただけでも上々か
やっと後ろ姿を見つけ出して
一定の距離を置いて眺め歩いた
深夜までいかない時間だけれど
男がすれ違うたびに注意深くなって
その舐めるような視線に嫉妬した
やがて駅に着いて
同じホームに立つことも出来ずに
目立たない離れた物陰にデカい身体を隠し
やってきた車両は一つ隣に乗り
俯く横顔を見ていたら
昔、こうやって何度か見てたなと思い出す
現在も変わらずに
こんななのかと
何で忘れてたんだろう
あの頃は恋だと無自覚だったからか
今思えば、あの時から彼女に惹かれていて
それを認めようとしていなかった
だって
彼女は
アイツの彼女
だったから
最初のコメントを投稿しよう!