揺らぐ男

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「遅かったよ、もぉ」 なんて、纏わりついてきた腕に 普通の男ならばデレるんだろう、けど 彼女の方が歩く姿勢がいい、とか 彼女の声は、とか 自分が予想していた以上にキテて それがショックで 流れ的にいつもの居酒屋で飯食って そのままホテルまでのつもりが 「やっぱさ…」 ん?って隣で見上げた女の眼は 煌々と光ってて 「やっぱ、ホテルやめよう」 一間置いてからの 「えっ、家に連れてってくれるんだ」 だと 勝手に変換した女は嬉しそうに それが更に疎ましく感じて 「いや、もう潮時 これで終わり だからもう会わない」 目の前のホテルでバッサリと切り捨てる俺は なんて酷い奴なんだろう 「はっ?嘘でしょう…」 さっきまでの甘ったるい声が低く変わり 煌々としてた眼は鋭いものとなり 「何なのよ、いったい こんな終わり方なんて酷いよ」 今時の高校生の方が もっと本能的に従って動いてるだろう だけど 「悪いな、もう興味ないから」 どうせならバッサリと切り捨てた方がと 相手のせいにして 優しさというよりは自分の為だけ
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