第15話

４５

狸を選ぶに決まってる。

「痛い……」

大体、私はセンセイの携帯番号すら知らない。知らせない、というのは私の都合で呼ばれたくないから知らせないのだ。

動悸が早くなる、息苦しくなる。このまま意識が落ちたら私はこの世から旅立つのかもしれない。でもいい、センセイの香りに包まれたまま逝くのなら本望だ。そう思いながら目を閉じた。