44

2/9
前へ
/27ページ
次へ
それから空港近くのホテルに移動した。ダブルの部屋、センセイはドレス姿の私をまじまじと眺めた。何度もキスをし、離れない。服も脱がさない。 「センセ……」 「勿体無い。まだ脱がしませんよ」 キスだけで腰が抜けそうになる。必死にセンセイの背中にしがみつく。センセイは何も言わなかった、私も何も言わなかった。奥さんと別れるとも、奥さんと別れてとも言わなかった。二人で唇を貪る。木曜の夜にあんなに抱き合ったのに足りない、抱き合ったからこそなのかもしれない。 「駄目、センセイ。もう」 私が根を上げてベッドになだれ込む。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

428人が本棚に入れています
本棚に追加