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一眠りして目が覚める。目を開けると部長はクッションの上で胡座をかき、経済誌を読んでいた。
「部長すみません」
「どうだ、気分は」
「まだ……」
私が起き上がろうとすると部長は私の背中に手を当てて補助した。
「いい匂いがするな」
「お粥ですか?」
「ははは。小川が、だ。香水買ったのか?」
布団に染み付いたセンセイの匂い。
「……ええ」
「花か? ムスクっぽいな」
「チュベローズです」
「薔薇か」
「いえ、それが薔薇じゃなくて」
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